会社の金で買った個人名義のゴルフ会員券でも、会社の資産に計上すればよい

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会社の金で買った個人名義のゴルフ会員券でも、会社の資産に計上すればよい
 会社にせよ個人にせよ、支出した資金はいろいろな種類に分かれる。なにかの資産に転化すると き、負債の返済に充てることのできるもの、経費になるもの、あるいは個人営業の場合だと家事関 連費の支出とされ必要経費にならない場合など、この区別は非常に微妙である。

 肥後商会は文房具の卸販売の会社である。社長の肥後三郎(四十八歳)は、長年個人経営でやっ てきたが、しだいに取扱い高も大きくなってきたので、数年前に有限会社にした。社長といわれ るようになると、いままで年寄りのお遊びだと軽蔑していたゴルフも、つき合い上やらなければ ならなくなった。思い切ってゴルフ場の会員権を三百五十万円で買った。

 会員権の名義は肥後三郎個人で、資金の出所は会社である。ゴルフ場に何回か通っているうち に、遠慮なくいろいろ話ができる知り合いもできた。肥後は交際用に使うのだから、これは完全 に交際費になると思っていたのだが、ある会社の社長にそれは駄目だといわれた。 「それにあなたは個人名で個人会員として入っているのでしょう。会社の役員だから、その費用 は役員賞与になりますよ」

 肥後はますます驚いた。会員券を周旋した仲介業者は、そんなことはなにもいわなかった。どうしたらいいのかと肥後が開いたところ、その人は、

 「このゴルフ場は、法人会員も扱っているんだから、もう五十万円足して法人会員として、会社 の名前で入ったら・とうですか。そうすれば、役員賞与だけは助かりますよ」

 と教えてくれた。貿ったばかりの会員権を売るとなると、相当の損をすることになる。乗りか かった舟だと、五十万円追加払いして、有限会社肥後商会名義にしてもらった。

 しかし、スッキリしない。あとで、交際費として会社の経費にならないとすると、なにになる のかと尋ねたら、会社の資産になるという。それでは機械や備品ゃ、なにかの権利のように償却 できるのかと聞いたら、それは駄目だともいわれた。

 この意見は正しい。会社名義のゴルフの会員権は資産に計上しておかなければならないのであ る。しかも、会社の業務に関係なく特定の役員などが使うためのものであるときは、そのものに 対する給与、結局は賞与ということになってしまう。そのゴルフ場に法人会員の制度がなく、や むを得ず個人名義で入り、その会員権の額を会社の資産に計上したという場合だけ、給与すなわ ち賞与とは取り扱わないことになっているのである。

 ゴルフクラブのなかには、会員を脱退するとき会員権を取得する費用、すなわち入金を返還し ないところもある。会員権相当額は資産に計上されているので、こういう場合は、脱退した日の 属する事業年度の損金にできる。