架空請求書、領収書はまず電話番号、次に筆跡を調べられる

昭和の節税対策  > 税務署が目をつけるポイント  > 架空請求書、領収書はまず電話番号、次に筆跡を調べられる

架空請求書、領収書はまず電話番号、次に筆跡を調べられる
 請求書や領収書は、その形式や様式はちがっても、それに記載される内容にはさしたる変わりが ない。だから、勝手につくった請求書や領収告で、会社から針を引き出したって、税務署にはわか らないはずなのに、わかってしまうのは、どうしたことだろう。 請求書はまずあて先が明記されている。請求する個人または会社の住所と氏名または会社名が 記載されている。請求の年月日も苦かれている。大事なのは請求金額と請求の内容の明細であ る。中規模以上の会社からのものだと、タイプ印書されているものもある。このようなものは、 まず、信憑性があるとみてよいであろう。

 調査をする税務署員は、いろいろな角度から教育訓練を受ける。最近、管内のある会社では、 勝手につくりあげた会社名の請求書を、ご丁寧にも活版印刷で刷り上げて、百附もつくってい た。社長室の棚にびっしりそれがしまつであったとか、ちょうど調査をしているときに、架空会 社名の請求書の束が刷りあずかつて事務室に印刷屋、が持ち込んできたのにぶつかって驚いたとか、 悪質なのが最近多いから、とくに気をつけろなどと打ち合わせの席上で教え込まれるわけであ る。まず、「疑ってかかれ」とはつばをかけられるわけだ。

 どこにどう目をつけるかというと、第一に請求書に記載された社名、所在地、そして電話番号 である。電話の普及は世界第何位とかで非常に普及率が高い。だから、電話番号が請求書にない とまず怪しいとにらまれる。電話番号が書いであったり、印刷してあったりしても、それをまと もには信用しない。相手に気づかれないように、いつのまにか怪しいと思う請求書記載の社名な どを書き写してしまうこともある。そのうち徴税予算がふえると写真機で撮影してしまうかも知 れない。

 そして次に、その請求者の実在性をたしかめるのである。こういう調査技術にかけては、さす がに国の費用でやっているだけに、公認会計士の監査なんかよりしっかりしており、しかも着実 にやる。電話番号の記載がなければ、電話番号簿でまず調べる。それに載っていないと、近いと ころなら出掛けていく。電話番号が書いであれば、電話を掛けてみる。

 「そういう番号の電話はありません」

 ときたら、税務署の勝ちである。運よくその電話が出ても、間違い電話だったら、これまた税 務署の勝ちである。架空の請求書だという確証がつかめたことになる。

 筆跡も架空領収書、請求書発見の糸口になる。どうせ、架空の請求書をつくりあげるのは経理 の担当者である。帳簿の文字や数字とよく似た筆跡で、請求書が書かれていると、信用したよう な顔をして内容を仕入帳などと照合すれば、架空だということがわかる。