土地の贈与をうまくやるには分筆という手がある

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土地の贈与をうまくやるには分筆という手がある
世の中には、相続や贈与にからんだ土地をめぐる問題が非常に多くあります。また一口に土地といって も、税法上種類が多く、相続財産、贈与財産の対象となる土地は、宅地、問、畑、山林、原野など の九種類にわかれています。

 相続すれば相続税がかかります。生きているうちにもらえば贈与税がかかりますが、現金、銀行預金 や有価証券なら細分化して、贈与税の基礎控除額三年につき六十万円〉の範囲内で贈与を受けて、 贈与税の網にかからないようにできます。ある知恵者が、この原則を土地に応用してみました。 土地については、まとめて贈与を受けるとたいてい大きな金額になる。そこで毎年、評価額六 十万円分だけ贈与を受けるのです。一平方メートル(約0・三坪〉の評価額が二万円の宅地だと 三十平方メートル(約九坪)になります。

 原則としては、宅地の相続財産として評価の単位は、一画地の宅地ということになっています。 ここにいう一岡地の宅地というのは、日常生活の利用単位になっていることを意味します。 だから、一画地の宅地は必ずしも一筆の宅地から成っているとはかぎりません。二筆以上の宅地 からなっている場合もあるし、また逆に一筆の宅地が二一山地以上の宅地として利用されていることもあります。

 だから一筆の宅地で、一回地として利用されている宅地を、さらに分筆して少しずつ贈与を受 けることにするのです。ただしこの方法が有効なのは、土地の評価額があまり高くない場合で す。というのは、分筆するごとに登記しなければ法律上の効力が発生しないからであり、その 登記の手聞が大変なのです。

 分筆の際には土地家屋調査土への手数料を払わなければなりませんし、分鉱午後も不動産の個数一 個につき千円の登録免許税を毎年納めなければなりません。こうしてみると、土地の評価額が高い 場合に、分筆して賦与税を払わないかたちで贈与を受ける、もしくは、贈与税を払って贈与を受 けるかは、よく考えてみなければならない問題です。

 とくに東京都内では、一平方メートル(約0・一二坪)の評価額が二万円という住宅はなかなか見当 たりません。一平方メートル当たり十万円の宅地とすれば、贈与税の基礎控除額の限度いっぱいで 六平方メートル(約一・八坪〉になります。一二0平方メートルハ約三十六坪)の宅地なら、全部贈与を受 けるのに二十年かかります。なかなか根気のいる作業となってきます。

 しかし贈与を受ける土地が、人里離れた交通不便な場所だったり、さしせまって土地や多額の 金を必要とする状況にない人は、このやり方で贈与を受ければ得することはまちがいないでしょう。