娘に与える五百万円の持参金には、贈与税はかからない

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娘に与える五百万円の持参金には、贈与税はかからない
普通、五百万円の現金なり預金の贈与があると、百三十六万円の贈与税がかかり、約三分の一は 税金だということになります。ところが、税法というより税務の執行商において、歴史的な風習を尊重 しようという、ちょっと変わった考え方があります。

 結婚ということをめぐって、世界各国でいろいろな風習が歴史的に長い期間伝わってきてい ます。日本でもお嫁さんをもらう場合、お婿さんのほうから結納金をもっていって、話をまとめ ます。百万円の結納金でも、それが身分相応と判断されれば、もらったほうに贈与税はかかりません。

 これは日本に古くから伝わっている風習を尊重する精神に根ざしているのです。

 娘を嫁に出す場合に、世間の親はなにかの用意に持参金をもたせてやることがあります。これは形 式的にも実質的にも、完全に贈与です。だが、持参金をもらって嫁にゆく娘を、贈与税が追い かけてはきません。一応、分相応な持参金なら課税しないということになっていますが、いくらなら分相 応かは税務署だって判定は難しいところです。そのため、課税されることはまずないと考えてよいでしょう。

 水戸月子ハ二十三歳)は、嫁にくるときに父親から五百万円の持参金をもらいました。結婚後三年、近くに手ごろな土地があったので、夫が会社から五百万円借りて、持参金五百万円を加え、 その土地を一千万円で手に入れました。目先のきく月子は二人の共有にしておかないと、どっちかに 贈与税がかかると知り、二分の一ずつの共有の登記をしました。

   ところが、夫婦一人ずつにこの土地の購入資金はどういう金であるかと、税務署からお尋ねが きます。夫のほうは会社から借りたということでケリがつきましたが、月子のほうは父親からもらった 持参金だと答えたら、もらったときにさかのぼって贈与税をかけられてしまいました。 なぜこんな失敗をしたのでしょう。

   持参金をもらったという時点では、贈与税はかからないのですが、なにかの資産、特に不動産な どにその持参金が転換したというときには、贈与があったとして贈与税がかけられます。 それでは、どうしたらいいのでしょう。

 贈与税課税の時効完成には五年かかります。こ の場合ももらった持参金をじっと五年間あ たためておけば、贈与税はかからなかったの です。持参金をもらったら、すぐに資産に 転換しないで、黙って五年間はそのままにし ておくことです。