白色申告の個人企業の慰安旅行は必要経費として認められにくい

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白色申告の個人企業の慰安旅行は必要経費として認められにくい
 事業経営では、その総収入金額から必要経費を差し引いたものが、事業所得の金額になるが、必 要経費になるかならないかをなにによって立証するかを、しっかり理解しておかなければならない。

 個人経営にせよ、会社組織にせよ、必要経費または損金の立証責任は、納税者である個人また は会社にある。ただ口だけでこれこれの経費がかかりましたといっても、ハイそうですかと、経 費を認めてくれるほど税務署は甘くない。

 高野達夫(三十五歳)は、個人で小さな運送業を始めて三年になる。運転手三人を使って、なん とか商売をやっている。ちょうど三年目になるということで、ひとつ感大に従業員を慰安しよう ということになった。十和田湖周辺に二泊三日の旅行をした。高野もいれて四人で経費が二十五 万円かかった。こういう経費は、福利厚生費として必要経費になると閲いていたので、翌年の確 定申告のとき、税務署員に去年は従業員を連れて慰安旅行をしたから、その分だけ必要経費を余 計みてくれといったが、駄目だった。

 高野は帳簿もなにもつけず、毎年の確定申告のときに、去年の収入金額はこれこれだから適当 にきめてくれというやり方ですごしてきた。税務署に対してなんの証拠になるものもないから、駄目であたりまえである。

 吉田幹夫(三十二歳)は、脱サラをして看板屋を始めてからこれまた三年目になる。青田は商売 で一番こわいのは税金だとよく聞かされていたので、開業当初から青色申告をし、自分の奥さん に帳簿の記帳ゃ、留守中の電話の応対など事務的なことをすべてやらせ、専従者にしていた。も ちろん専従者給与もきちんと払っている。従業員二人は開業当初からのもので、よく働いてくれ る。

 三年目にもなったのでということで、能登半島へ二泊三日の慰安旅行にでかけた。奥さんも専 従者として従業員の一人だからということで、総勢四人ででかけたのである。この経費が合計二 十五万円ちょっとかかった。旅費の明細を記録し、宿泊費など領収書をもらえるものは全部揃え て、奥さんは福利厚生費として記帳した。

 青田はちょっと余計にかかったが、必要経費にして大丈夫かと心配した。いざとなると女性の ほうが図太い、正当な経費ですよと全額を必要経費にしたわけである。もちろん、これは当然の 経費なのであるから、心配する必要もない。

 問題はどのようにして立証するかなのである。記帳もなにもしないで、この分を必要経費に認 めろというのでは、逆に税務調査が厳しくなることだってある。要は記帳をきちんとして、なに かいわれたときでも、立証できるようにしておけば、税務署は認めざるを得ないのである。