株の売買は制限つきで無税大口の投資家ならともかく、年間の所得が数百万円程度しかない個人事業主やサラリーマンにと って、株式を売買してささやかなもうけを生みだすのは、ひとつの楽しみです。しかし、これには、新たな 伝制限が設けられました。株を楽しみにしている人たちは、一応知っておいて損はないでしょう。
「これくらいの株の売買のもうけなんて、なにも税金の心配をする必要はないよ」 とよくいわれます。つまり、「これくらい」については、実は限度があったのです。 次のいずれにも抵触するときは、有価証券の継続的な取引が行われ、これは商売人と同じだと いうことで、そのもうけについては所得税をかけることになっていたのです。
(一)一年間の売買の回数が五十回以上であること。
(ニ)その売買した株数が二十万株以上であること。
したがって、次のような場合には税金はかけられなかったのです。
(一)売買回数……五十回未満。
(ニ)売買株数……二十万株以上。
また、次のような場合にもかけられませんでした。
(一)売買回数……五十回以上。
(ニ)売買株数……二十万株未満。
さきに掲げた要件を二つながら同時に満たしているときだけ、税金をかけられました。 ところが、この程度のことでも投資家保護のための法律だという批判が強かったのです。も っとあくどいもうけをしているのが相当いるのに、一般大衆の夢にある程度の制限を加えること になったのです。次の場合には、まったく所得税はかからないことは変わりはありません。
(一)一年間の売買回数が五十回未満であること。
(ニ)一年間の売買株数が二十万株未満であること。
しかし、こういう場合はいいが、次のようになった場合には継続的な取引であるということ で、そのもうけに対して所得税をかけることに昭和五十四年の税制改正で改正されました。
(一)一年間の売買回数が五十回未満であること。
(ニ)一年間の売買株数が二十万株以上であること。
こういうとき、従来は課税されなかったが、課税されるようになったのです。 そこで、株の売買によっていくらかのもうけを生みだそうというささやかな夢をもっている人 は、これにひっかからないように注意しなければなりません。回数が五十回未満、株数が二十万株 未満であることを立証できる証拠をきちんと整えておかなければならないのです。