接待にともなう料亭の料理飲食等消費税は租税公課にならない

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接待にともなう料亭の料理飲食等消費税は租税公課にならない
 会社が得意先を接待するときの料理飲食等消費税は馬鹿にならない。接待のための飲食代は交際 費になるが、交際費の限度額は極めて窮屈である。損金不算入額をいくらかでも少なくするため に、料理飲食等消費税相当額を交際費からはずして、租税公課にすればすこしでも交際費の損金不 算入額が少なくなるのだが・・。

 肥因物産株式会社は、とくにフランスやイタリアの高級雑貨を輸入し、デパートなどに卸して いる由緒のある古い会社である。輸入に関しての交際費の支出も多いが、とくにデパートに対す る売込みには接待費がたくさんかかる。古い会社なので、資本金の額が小さい、そのために従来 から交際費の損金に算入できる限度傾は小さかった。したがって損金不算入となる額が決算期ご とに相当多額に出た。

 昭和五十四年度の租税特別措置法の改正で、交際援の損金算入限度は、

(一)資本金千万円以下の会社 四百万円
(ニ)資本金千万円超・五千万円以下の会社 三百万円
(三)資本金五千万円を超える会社 二百万円

 肥因物産は資本金千五百万円だから、限度額は三百万円しかない。しかも、この限度額を超え る額の九Oパーセントが損金にならないのだから大変なことになる。

 この改正法が適用される事業年度から、なんとか対策を考えなければならないということで、 接待に使った飲食代金のうちに含まれている料理飲食等消費税に目をつけた。その事業年度の交 際費総額九百五十二万三千八百円のうち、料理飲食等消費税だけ抜き出してみたら、なんと二十 八万五千三百二十円となった。これだけでも交際費からはずしておけば、いくらかでも税金が安 くなると考えたわけである。

 論拠とするところは、交際費は企業活動を活発にし、会社にとって利益を生みだすもとになる という反対給付が期待できる費用である。しかるに料理飲食等消費税は都道府県が一方に賦諜す る税金であって、これが経営上になんのプラスになるものでもない、完全に損金となる性格を持 つものだというところにあった。一応、もっともな議論ではある。

 ところが、これは税務署の調査の結果、そういう処理は駄目だということになった。税務署側 の論拠は、料理飲食等消費税は料亭その他での飲食等の行為についてその行為者に課される税金 であって、利用した料亭等が利用料金と一緒に徴収して都道府県に納める間接税である。通常そ の利用料金のなかに含まれる性格を持っているものである。だから、この税金は接待や供応など の行為のために支出する費用に含まれる。

 交際費の支出が間接的に企業の収益獲得のために貢献するものであるとすれば、この税金もそ の費用の一部を構成するものであって、なんらの反対給付がないとはいえないというのである。 会社の意見はとおらなかった。